「白」野と「雪」乃の物語【断章のグリム16 白雪姫〈上〉】 [甲田学人作品]
断章のグリムⅩⅥ (16)白雪姫〈上〉 (電撃文庫)の感想です。
内容に触れるかは微妙ですがネタバレ注意で。
2011年12月発売断章のグリム 16 白雪姫・上著:甲田学人/イラスト:三日月かける
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入谷さんが格好いいです。むふふ。
見た目も、他人を寄せ付けない言動も。任務に忠実なところも。その動機も。
友人に忠実なところも、本当は面倒見の良いところも。
断章の中身も。背景も。
なにより、
[この世界の闇の所為で、愛した女を失った]
というのは、もう運命としか言いようがないほど、ぐっときてしまいました。
私の悪趣味ですよ。ええ。
だいたい女が多いですが、しかし何か大切なものを失う羽目になっている方がたまらなく狂おしく愛おしくおいしく見えるのですなあ。
ついでに、弟妹がいたお兄さんというところも。
良く言えば、その悲しみを乗り越えて強くなる方が好きといえますが。
まあものはいいようですな。
乗り越えるということは、つまるところ、
失った大切なものは二度と戻ってくることはない。
なんて。どこが美談だよwwwwwwwwwwwwwwwww
何の因果かね、俺が好きなのは後々そういう結果になることも少なからず。
白雪姫に嫉妬するお妃様の気持ちがわからなくも無いこのごろ。
妹ちゃんをちゃんtp見ていなければなければダメですよシャークさん。なんてな。
さて、本編にはいりますかね。
早速ですが唐突になんか爆弾落とされました。
失念していました。
そして同時に、ああ。もうそんななのかと。
白野君の断章の元になった葉耶ちゃんの物語
過去話だとか元になった話しなんて散々やっていたのに。
断章の名づけは、人間の目線でしかないのに。
そもそも、断章の解明の上で過去話は欠かせないのに。
主人公の過去話に触れないことがあろうかと。
雪乃さんですら、(直接その事件は扱っていないけれども)過去を見せてくれたのに。
終わりに近づこうかというこの状況で、ならばつまり終わりということかと。
実際、これは上巻で、下巻となる17巻で本作「断章のグリム」は完結だそうです。
それはさておいても、蒼衣君の断章は、本当は白雪姫に根ざすものということでしょうか?
「アリス」は、あくまで断章の効果から名づけられたものですから。
元型となった物語ではないんですよねそもそも。うっかりしていました。
今巻を見た感じでは、やはり葉耶ちゃんというお姫様に会いに行った王子様という配役なのでしょうか?
それとも、蒼衣君自身が棺に囚われてしまうお姫様なのでしょうか?
記憶が食い違っているのはどういうことなのでしょうか?
そもそも、断章を認識するまで忘れていたので、辛い記憶を自分で改造してしまったというのは変ですよね。今言ったように、忘れれば良い話です。
誰かが勝手に変えた?なんのために?
考えられるのは、葉耶ちゃんの事件で騎士さんが活動していて―これは神狩屋さんがいつから事件を調べていたのかにもよりますが、もし、蒼衣君が騎士になる前から知っていたのなら、その可能性は高いですよね。―その騎士さんの効果で?
いや、それならやっぱり忘れさせることが出来る方、アノニマスさんとか、に任せれば良い話ですし、和らげるなら尚のこと、蒼衣君が手を下したという記憶にはしないはずですな。
夢見子ちゃんの関係
最後の最後、当時一緒にいたらしいとの発言がありましたが、どういうことなんでしょうか?
アリスはその当時から、ウサギの導きを受けていたんでしょうか?
そもそも、夢見子ちゃんの事件はいつでしたか?
真っ赤に焼けた鉄靴、もしくは救いの王子
雪乃さんの役回りはそんなところではないかなと思います。
魔女・・・お妃様を滅する炎の騎士。
あるいは、葬るべきは白雪姫でしょうか?
ヒーローとヒロインが完全に逆転していますが、ここで雪乃さんが囚われて蒼衣君が助けにというのもなんだか想像できないです。
プラス颯「姫」の物語
さてさて上手い具合に主役二人にはまっていた白雪。
ところで姫は・・・?と思い至って、該当する子がいました。
姫はそもそも名前とは関係ないので、甲田先生が意図したのかは不明ですけど。
何らかの役割は果たすんでしょうか?
ただ、物語上、彼女しか覚えているはずのものが居らず、けれども彼女も忘れてしまってという結果に収束してしまいやしないかと不安でもあります。
前作、ミッシングでは、追憶してくれる主人公がいましたが、今回は果たして。
ミッシング以上に実害が伴う作品なので、余計に心配です。
それでも、そして本当に誰もいなくなったという展開を、期待している自分もいますけどね。
本来なら、普通の人の目には触れるべきではない物語。
ウサギを誘い出した八百比丘尼
知ってか知らずか、今回の事件を加速させるつもりなんでしょうか神狩屋さんは。
お店に残された資料からは、夢見子ちゃんが関係していたという点は見られませんでしたが。
本当に全てがどうでもよくなってしまったのなら、その可能性も否定は出来ません。
加速させて、今度こそ、最後に残った望みを叶えてもらうために。
それでも彼だけは残ってしまってという、暗鬱な?結果もそれはそれでとも、思ってしまってはいるんですが。
来月と言うことはないでしょうが(実際発売予告にはありませんでしたが)、ちょっと伸ばして欲しいなあと思うのです。
読み返せばそのたびに彼らの時間も繰り返しますが、やはり終わりは終わりなので。
ハッピーエンドを祈りつつ、らしいのならば、世間一般のバッドエンドも悪くはないのではとも思いつつ。
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